老師《らおしー》の玉手箱

先生方が玉手箱の中にしまっておきたいような大事な思い出話をしよう!という老師《らおしー》の玉手箱。

「日本の漢字・中国の漢字 (その3)」

 

事務所の前にプランターを並べ、ひまわりの種を蒔きました。6月初めのことです。それから3カ月ひまわりはやや茎が細めながらすくすくと伸び、先週いっせいに花が咲きました。同じプランターにこれまで何度か花の種を蒔きましたが、全くうまくいかず悩んでいたので、今回ひまわりが大輪(というほどではありませんが、私の気持ち的には)の花を咲かせ、大いに晴れやかな気分になりました。じつに夏らしい、大柄で華やかな雰囲気です。

 

 


そういえば高校の教科書に
向日葵は金の油を身に浴びてゆらりと高し日のちひささよ 前田夕暮

 

 

という短歌がありました。金の油を浴びたようにギラギラ輝くひまわりの花、その大きなひまわりと小さな太陽の組合せ、絵画的な描写です。

さて、「向日葵」と書いて「ひまわり」と読むのは、漢字テストによくある難読字です。漢字の読み書き練習に苦労した記憶がよみがえってくるかもしれません。

 

中国語ではこんな「どう読めばいいか」という問題はほとんど起こりません。何度かご説明しているように中国語では一字一音が大半で、どんな難しい漢字も読み方を一度覚えてしまえばいつでも同じ読み方でOK。地名人名で悩むことも(ほとんど)ありません。うらやましいですね。

 

日本語ではこれまでご紹介したように「音読み」「訓読み」があり、さらに音読みには「呉音」「漢音」「唐音」があり、おまけに「向日葵」のような難読字があります。これに加えて最近は「キラキラネーム」などというほとんど無法状態の読み方が跋扈しているので、漢字を前にして呆然とする事態に遭遇した経験はみなさんもお持ちだと思います。

 

では中国語で漢字1字2音あるいは3音という例はないのか、というと、もちろんあります。たとえば「楽」には「le4」(ピンインのあとの数字は四声=四種類のアクセントを表します)と「yue4」の2つ、「重」には「zhong4」と「chong2」の2種類の読み方があります。じゃあ中国でも読み方に迷うことがあるんじゃないか、と思うかもしれませんが、迷うことはありません。原則として意味によって読み方が決まるからです。

 

たとえば「楽」は「歓楽」「楽観」などのときは「le4」、「楽器」「楽譜」などのときは「yue4」と読みます。もうおわかりになりましたね。
「たのしい」という意味のときは「le4」、「音楽」に関する意味のときは「yue4」と読むのです。これでもう迷うことはありません。わかりやすいですよね。

 

では中国人の姓で「楽」(たとえば有名な南宋の将軍楽毅)はどちらでしょうか。また唐代の有名な詩人「白居易」の字(あざな=呼び名)「白楽天」(こちらのほうが有名かもしれません)はどちらでしょう。
正解はどちらも「le4」です。

 

では「重」の「zhong4」と「chong2」はどのように読み分けるのでしょうか。これは次回ご説明しましょう。
ヒント:「重量」「重点」は「zhong4」、「重複」「重奏」は「chong2」です。
もうひとつ、中国の直轄市の一つ「重慶」はどちらでしょう。また熟語「捲土重来」はどちらでしょう?

 

 

 

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