老師《らおしー》の玉手箱

先生方が玉手箱の中にしまっておきたいような大事な思い出話をしよう!という老師《らおしー》の玉手箱。

「日本の漢字・中国の漢字(その1) 」

 

「日本も中国も同じ漢字を使うから中国語は勉強しやすい」と想像する日本人は少なくありません。その反対に「だから日本語は勉強しやすい」と推測する中国人もまた珍しくありません。
この想像や推測が正しいかどうかは「何に比べて」勉強しやすいか、「どこが」勉強しやすいか、という基準の置き方で違ってきます。「読む」「書く」という点から言えば、漢字を使わない言語、例えば英語を母語とする人が中国語を学ぶ労力は、日本人よりはるかに大きいと思います(日本人は小学校から漢字の書き取りを練習していますから)。

しかし「聴く」「話す」という点から言うと、日本人に漢字のアドバンテージがあるとすぐには断言できないと思います。

 

 


大連中山広場で見かけた石板。
中国語を知らなくてもだいたい意味が分かると思います。

 

1月から2月にかけて中国人留学生対象の授業を大学で担当しました。これまで日本人学生に中国語を教えたことしかなかったので、この授業は新鮮な反面、準備にだいぶ苦労しました。
受講していた中国人留学生4人は、日本語の講義を聞いて理解できるレベルの日本語力があり、コミュニケーションに大きな不便はありませんでした。ただ授業の中で彼らの漢字の読み方が時々不自然なことが気になりました。

 

日本と中国の漢字の使い方にはいろいろと違いがありますが、なかでも漢字の読み方が中国語では「1文字に1種類」が大半なのに対して、日本語では「1文字に2種類以上」が大部分というのは大きな違いです。

 

たとえば「山」とい漢字は、中国語の場合いつでもどこでも「shan」でOKです。日本語では「やま(山に登る)」と「サン(富士山)」、「セン(大山)」の3種類あるうえに「ザン(登山)」という音便まであります。これを常に正しく読み分けることは(日本人にとっても簡単なことではありませんが)、中国人(外国人)にとってはずいぶん骨の折れることだと思います。

漢字を訓で読むか音で読むかは多少目印があります。「走る」は送り仮名「る」があるので「はしる」と読むことがわかります。「走行」は漢字2文字ですから「ソウコウ」と音読みする熟語だろうと推測できます。

では「砂金」「金剛」「黄金」の「金」はどうやって読み分ければいいでしょうか?
ちょっと考えてみたいと思います。

 


大連市内の標識。これもだいたい意味が分かるのでは。

 

 

 

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